一般社団法人 職業感染制御研究会
N95/DS2マスク除染と再利用に関する情報公開ページ
(2020年6月5日更新)

本ページはN95マスクの除染(除菌)方法について、N95DECON(※)から職業感染制御研究会が翻訳許諾を得て公開しています。 N95DECON-Globalに日本語の資料の一部が公開されています。
(※)N95DECON: A scientific consortium for data-driven study of N95 filtering facepiece respirator decontamination(N95フィルター式フェイスピースレスピレーター除染のデータドリブン研究のための科学コンソーシアム)

<内容>

〇 新着
2020/06/05
(1)加湿熱 (2)紫外線 (4)時間による除染の技術レポート(日本語)を公開
2020/05/18
2020/05/18
(1)加湿熱 (2)紫外線 のファクトシートの関連情報の翻訳を追加しました。
2020/05/15
除染方法に(4)Time(時間による除染)を追加しました。
2020/05/15
(1)加湿熱 (2)紫外線 (3)過酸化水素を使用した除染 のファクトシートを最新版に更新
2020/05/15
謝辞「N95DECON連携翻訳チーム」のメンバーを更新
2020/05/15
過酸化水素を利用した除染方法(詳細)を別ページにまとめました。
2020/05/12
厚労省通知「マスクの例外的取扱いについて」 が改定され、中国のKN95マスクなどの医療用マスクのうち、米国FDAで緊急使用承認(EUA)が与えられていないものは、N95マスクに相当しないとされた。
2020/05/01
謝辞「N95DECON連携・資料翻訳チーム」のメンバーを更新
2020/04/22
日本医療器機学会からN95マスクの例外的取り扱いに関する指針が公開されています。
N95 FFR(Filtering Facepiece Respirators)の院内滅菌による再使用について
N95 FFR(Filtering Facepiece Respirators)の過酸化水素ガス滅菌による再使用について
2020/04/21
3M N95微粒子用防護マスクの除染方法(第3版)(2020.4.17版)PDF をアップ
2020/04/19
2020/04/16
過酸化水素蒸気(HPV)または過酸化水素ガスプラズマ(HPGP)を利用した滅菌器機の情報を追記しました。
2020/04/13
N95DECONのリーフレットの日本語訳をアップし、日本語解説を加えました。
2020/04/10
厚労省通知「マスクの例外的取扱いについて」(N95マスクの過酸化水素水プラズマ滅菌器を用いた再利用法について)を、N95マスクの除染方法のところに追記しました。
2020/04/09
本ページを公開しました。


〇 COVID-19と戦う医療従事者を守るために
前例のないCOVID-19流行危機により、感染症指定病院をはじめ多くの医療施設、診療所では、医療用のN95マスク※を含む個人保護具(PPE)が不足し、使用したN95マスクを除染して再利用することを余儀なくされています。 平時ではPPEは使い捨てで、一回限りの使用が基本です。しかし、PPEの入手や代替品が困難な場合、医療従事者の職業感染のリスクが非常に高くなります。 心理的にも大きな問題です。COVID-19パンデミックにより、世界中の医療従事者がPPE不足により危険にさらされている中、米国CDCはN95マスク除染のための危機管理基準勧告を発表しました(2020.3.31)。 今回の危機的状況により、日本でもN95マスクが不足し、現場からベストな再利用の方法がないか質問が寄せられています。そこで、職業感染制御研究会PPEWGでは、医療スタッフを守るための現時点での最良のリスク管理方法に関する情報ページを立ち上げました。
※N95マスクは、N95 respiratorもしくは日本の防じんマスクの国家検定規格DS2マスク相当のものをさす。詳細はこちら

〇 N95マスク(N95防護マスク、N95レスピレーター)とは何ですか?
    PDF(eng)  PDF(jp)
Schematic

N95防護マスクとは、油分を含まない空気中の粒子の少なくとも95%を捕集する使い捨てタイプの呼吸用保護具(FFR)のことです。
詳しくは右のリーフレットをご参考ください。
参考:N95マスクの選び方・使い方(職業感染制御研究会による解説)


〇 一般利用におけるフェイスマスク(使い捨てマスク)
COVID-19 のパンデミックにおいて、公衆での一般的なマスク着用は、他者を守るとともに着用者もある程度守ります。フェイスマスクは、呼吸器ウイルスの伝搬を減らすために世界中で使われています。 マスクはより大きなコミュニティを守り、感染から個人も守ります。
    PDF(eng)  PDF(jp)
Schematic

  1. 着用者の近くにいる人のために:
    鼻と口の両方をマスクで覆うことで、感染者からのウイルスを含んだ呼吸器飛沫やエアロゾルの放出を抑えることができます。SARS-CoV-2(COVID-19の原因となるウイルス)は、症状がない人や気分が悪くない人からも感染する可能性があるため、今日では、公衆でのフェイスマスク着用が広く推奨または義務化されています。
  2. 着用者のために:
    マスクは口や鼻を触る回数を減らし、接触感染の機会を減らします。また、マスクは口や鼻から吸い込むウイルス粒子の数を減らすというデータがあります。吸入した空気を効果的にろ過するためには、マスクの種類と装着方法が重要です。
    ほとんどの場合、どのようなマスクやフェイスカバーでも、何もないよりはマシです。しかし、着用者や着用者の周りの人が受ける保護のレベルは、マスクのタイプや着用方法など、いくつかの要素によって左右されます。


〇 N95の除染(滅菌)方法
 N95マスクの除染(滅菌)にあたっては、以下の4つの除染(滅菌)方法が検討されています。
 (1)加湿熱、(2)紫外線(UVーC)、(3)過酸化水素蒸気、(4)時間の使用 が文献で支持されています。
  1. 加湿熱を使用する
      ファクトシート  PDF(eng)  PDF(jp)
    Heat_factsheet

      技術レポート PDF(eng)   PDF(jp)
    Heat_factsheet

    N95マスクの熱湿度によるSARS-CoV-2の不活性化については、さらなる検証が必要である。加湿熱を使用した除菌は広い範囲の環境で容易に実施できる可能性のある低コストの策の一つになり得る。しかし、過度の加熱サイクルはN95マスクの密着性とフィルター性能を損なう恐れがある。さらにこの方法は細菌やカビのリスクからは保護されない。リスクが軽減されれば、この加湿熱手順は将来の実現可能性研究に役立つ。

  2. 紫外線(UVーC)を使用する
      ファクトシート  PDF(eng)  PDF(jp)
    UV-C_factsheet

      技術レポート PDF(eng)   PDF(jp)
    UV-C_factsheet

    センサーを利用し、適切に1.0J/cm2以上のUV-C線量をN95マスクに照射できれば、この方法でSARS-CoV-2を不活化できる可能性は高い。しかし、これはまだSARS-CoV-2で直接検証されたわけではない。 この方法は、いくつかの細菌の重感染リスクを予防できる可能性はあるが、全てではない。

  3. 過酸化水素を使用する
      ファクトシート  PDF(eng)  PDF(jp)
    hpv_factsheet

      技術レポート PDF(eng)  PDF(jp)
    hpv_factsheet

    マスクの例外的取扱いについて(厚労省通知令和2年4月10日)PDF」で紹介されている除染の方法である。 適切に実施され、N95マスクに有機物が付着していない限り、HPV/HPVP,VHP,HPGP,iHP,aHPを用いた院内の標準の除染プロトコルはすべて、SARS-CoV-2と細菌芽胞を不活化する可能性がある。ただしこれらの方法において必要とする除染時間と推奨の最大使用回数は完全に異なり、誤った使用は除染の失敗やN95マスクのフィルターおよびフィット性能を損なう可能性がある。

  4. 時間を用いて室温で除染する
      ファクトシート  PDF(eng)  PDF(jp)
    time_factsheet

      技術レポート PDF(eng)   PDF(jp)
    time_factsheet

    もし、他に選択肢がない場合、使い捨てタイプのN95マスクの再使用は、間隔をあけて適切に保管することで、SARS-CoV-2を十分に不活化する可能性がある(FDAはウイルス活性が1/1000に減少した場合に不活化したと規定)。清潔な状態で、室温で7日間保管すれば、ほとんどの状況で十分なSARSCoV-2の不活化が得られる可能性がある。この方法では、細菌やカビの重感染のリスクに対して除染を行うことはできない。


N95マスクの再利用時の注意(v1.2)
    PDF(eng)  PDF(jp)
Schematic

以下の方法はN95マスクの濾過効率を著しく低下させるか、または生物学的汚染物質を十分に不活化できないことが示されています。N95マスクの除染には使用しないで下さい。
×避ける(ダメ):
 ×石鹸水:石鹸水に浸漬すると複数のN95モデルで濾過性能が低下することが示されています。微粒子を付着させやすいように帯電しているフィルターの帯電性が落ち、性能が低下すると考えられています。
 ×アルコール:フィルターの直接ダメージを与え、性能が低下します。
 ×漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム):漂白剤を含む溶液に浸漬するとN95マスクの濾過効率が低下することが示されています。ただし、漂白剤を含むワイプ(0.9%次亜塩素酸塩)で3回拭いてもいくつかのモデルのN95マスクには損傷を与えないことも示されており、表面を拭くなどには利用できる可能性があります。また、漂白剤の残留には健康リスクがあり、特に喘息や過敏症のある人には危険です。
 ×一晩の保管:SARS-CoV2は環境表面で3日間以上、活性維持できることが報告されており、室温で一晩置いただけではN95の除染は十分でないことが示されています。



〇 N95マスクの除染と再利用の具体的手順は別ページで公開しています。
 N95マスクの除染と再利用の具体的手順


〇 有用な情報
〇 本ページについて
本情報は、N95マスクに関する最新情報が入手出来次第、更新します。 この活動は、このパンデミックの最前線にいる医療従事者への深い感謝と、それを支えたいと思う研究会会員有志と本活動に賛同する有志によって作成されています。
N95マスクの除染方法に関する本ページの情報は、PPE不足を解決したり、誰かを非難するためのものではありません。 医療従事者がN95マスクを再利用することによるリスクを軽減するための緊急時の対策として公開しています。 N95マスクの充足が一刻も早く望まれるところですが、入手困難の中、医療従事者と病院管理者、産業保健スタッフがそれぞれの施設の限りある状況のなかで判断できる材料を届けようとしているものです。 新型コロナウイルス感染症と戦っている医療従事者を心より応援し、また医療従事者とその家族、支えている皆様に心から感謝します。

内容について意見、コメント等があれば、遠慮なく研究会事務局までご連絡ください。
また、翻訳作業等本ページ作成にご協力いただける方を募集しています。ご関心のある方は研究会事務局までご連絡ください。


〇 謝辞
N95DECONの日本語翻訳版作成にあたっては、以下のメンバーに、ご協力頂いています(敬称略)。
太田由紀(帯広厚生病院)、奥野雅士(3M Medical Solutions Division)、草場恒樹(モレーンコーポレーション)、黒須一見(感染研)、佐々木美奈子(東京医療保健大学)、柴田英治(愛知医科大学公衆衛生)、タナカ千恵子(カナダ、カールトン大学)、津田洋子(帝京大学公衆衛生大学院)、久永直見(愛知教育大学)、吉田理香(東京医療保健大学)、宇田真弓(静岡県産業環境センター)
監修:吉川徹(労働安全衛生総合研究所)、菅原 健(国立大学法人電気通信大学)
N95DECON連携翻訳チーム 担当:吉川徹(職業感染制御研究会)


2020年4月9日(最終更新 2020/06/05)
一般社団法人職業感染制御研究会
COVID-19 に対応する医療従事者の個人防護具確保のためのワーキンググループ
(Ensuring PPE for COVID-19 Fighters Working Group:PPEWG(ピーウオグ))
及びN95DECON連携翻訳チーム