2.医療従事者の方に
看護師をはじめ、医師、臨床検査技師などの方々は注射器等の取り扱い頻度が高く、それだけ針刺し切創を起こす機会が増えることになります。
注射器を実際に使用する場面だけでなく、仕事にとりかかる前の心構えを含めて、どうすれば針刺し・切創を減らし、さらによい仕事ができるのかを、
職場の皆でよく話し合って仕事に役立てます。
いつでも、どこでも
仕事にとりかかる前に
- ひと呼吸の原則
あわてないで冷静にとりかかる。とくに、無意識な動作を避けるために、とりかかる前はひと呼吸おくようにします。
- 作業前点検の原則
作業始めの申し送りにおいて、1日の作業あらましを確認するとともに注射針等の使用頻度も確認しておきます。とくに、使い慣れていない機器がある場合は使い方などあらかじめ調べておきます。
- 感染症確認
すべての血液体液は感染性のあるものとして取り扱います。必要に応じて、患者の感染症に関する情報を確認します。
- 患者への声かけ
採血や鋭利器材を利用する処置などの際は、患者にひと声をかけ、患者の協力が得られるようにします。
病室で注射針を使う場合
- トレイ等の利用
病室への往復などで、注射器や注射針等を運ぶときは、必ずトレイ等にのせて運ぶ。使用後の鋭利器材はトレイを利用しません。
- 携帯用廃棄用機の携行
専用廃棄容器が配置されていない病室等の処置をする場合、携帯用の廃棄容器を携行します。
- 共同作業者の協力
患者の状態によって単独で注射や採血せずに、共同作業者の協力を求めます。
処置室・ナースステーションで注射針を扱う場合
手術の場合
- チームワーク
共同作業者をあわてさせるような言動は避け、チームワークでの作業を心がけます。
- レイアウト
血液の付着した鋭利器材・縫合針・注射針等の流れや受け渡しの可能性などをあらかじめ考慮して、各作業者の立つ位置や、器具の保管場所、廃棄容器の配置場所を決めます。
- 手渡し方法の確認
縫合針のついた持針器を共同作業者に手渡しする場合には、あらかじめ手渡し方法を話し合い、確認しておきます。
- 手渡しの代替法の確認
使用後の縫合針等を手渡ししないですむ方法を確認します。
- 声掛け
使用後の注射針や縫合針を共同作業者に手渡す場合や、やむをえずその注射針等を一時保管する場合には、その旨かならず共同作業者に声掛けします。
- 針刺し発生時の対応
万が一、針刺し切創や粘膜や傷のある皮膚への血液・体液曝露が発生した際は、対応を後回しにせずに、直ちに術野から離れ、適切な曝露後予防策を行います。
夜間に作業する場合
緊急患者の場合
- 冷静な行動
どのような場合も注射針を扱っているときは冷静に行動します。
- チームワーク
共同作業者の行動に気をつけて、チームワークを優先します。
- 応援要請
患者の状態によっては、ひとりで対処せずに共同作業者の応援をたのみます。
- 感染症未検者の扱い
未検査の患者の場合においても、感染症がある場合と同様に、慎重な対応を心掛けます。
検体を取り扱う際に
- 標準予防策の徹底し、手洗い、手袋着用をします。
- 検体は割れない、密閉できる容器で運びます。
- 検体は直接手で触れないようにします。
- 依頼用紙が血液で汚染されないように取り扱います。
- 固定前の塗沫標本は感染性ありとします。
- 乾燥した血液も感染性ありとします。
- 目の保護、検査着等、個人用防護具を必要に応じて活用します。
- 検体保管と試薬保管は別々の冷蔵庫にします。/li>
- 針と注射器による検体の移し換えはしないようにします。
- 鋭利器材はすぐに捨てられる環境を整えます。
「病院等における災害防止対策 研修ハンドブック 針刺し切創防止版」(発行 地方公務員災害補償基金、平成22年2月) からその一部を、許可を得て改変、転載。