KN95を中心とした中国製品の性能評価をNIOSHが報告
(2020年4月28日)
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新型コロナウイルス感染症対応における呼吸用防護具製品の適正使用に関する注意喚起(2020年6月12日) も参照ください。
医療機関では中国の国家規格であるKN95マスク等の海外製品の活用が始まっています。
KN95を中心とした中国製品の性能評価が米国疾病予防管理センター(CDC)・米国労働安全衛生研究所(NIOSH)から報告されました。
https://www.cdc.gov/niosh/npptl/respirators/testing/NonNIOSHresults.html
評価対象は中国メーカの製品で、主にKN95(中国の防じんマスクの規格)適合のものです。上記ページで報告されたテストレポートをみると、耳掛け式のものがほとんどです。評価項目は粒子捕集効率のみとなりますが、惨憺たる性能の製品が沢山あります。また、NIOSHのコメントとして、限定的な評価ではあるものの、耳掛け式はフィットが難しいとされています。
今後、様々な海外製品が入ってくると思われますが、フィットテストが十分に普及してない国内においては、N95/DS2のレベルに満たないものが使われるのではないかと大きく懸念します。
米国は、FDAが海外製品の緊急使用を認めるEUA(Emergency Use Authorization)を発行する際に、第一段階としてテストレポートや認定証などを個々にレビューしています。今回のNIOSHの試験は、第二段階の検証で、製品によってはEUAの取り消しへ動くのではないかと推察されます。国内は、上記検証のフレームワークがありませんので、現時点でできることは、こういった情報を速やかに共有し、ユーザー側で自衛することが重要です。
上記のCDC-NIOSHの評価をみていただけるとよくわかりますが、以下が惨憺たる性能のマスクの例です。
各施設で利用しているCOVID-19対応時、エアロゾル発生手技時などに利用しているN95相当のマスクとして以下を利用していないか、ご確認ください。
各医療施設で利用されているKN95マスク等、ご確認ください。
なお、上記の評価は防じんマスクのフィルターの性能であって、上記以外のマスクでもフィット性を評価しているものでないことに、さらに注意しておくことが必要です。N95/DS2マスク利用者は、それぞれのN95/DS2マスクについて各自フィットテストを行って自分にとって漏れ率が少ない製品であるか確認することと、毎回使用前にユーザーシールチェック(フィットチェック)を行うことが必要です。
フィットテストについては以下をご参考ください。
https://www.safety.jrgoicp.org/ppe-3-usage-n95mask.html
※本情報の一部は、スリーエムジャパンの安全衛生製品事業部学術部の國谷様より提供いただいています。感謝申し上げます。
2020年4月28日
一般社団法人職業感染制御研究会
COVID-19 に対応する医療従事者の個人防護具確保のためのワーキンググループ
文責 吉川徹(職業感染制御研究会)